日本の伝統芸能である剣舞、扇舞(詩舞)、詩吟の3つを総称して「吟剣詩舞」といいます。なかでも剣舞は、刀と扇で侍の生き方や心を舞うものです。武士の装束である紋付き袴を着用して刀と扇を携え、 漢詩や和歌の吟詠に合わせて舞います。
剣舞は、幕末ごろに維新の志士たちが自らの鼓舞や精神統一、あるいは意思表明のために詩を吟じながら刀や扇で舞ったことが始まりといわれています。剣舞の1演目は約2分半という短いですが、約七百年間の中で築き上げられた侍の価値観や精神性が凝縮されています。
武家文化には身分社会特有の封建的な考え方も含んではいますが、多くの点で現代日本人の暮らし方のルーツになっています。特に、武士のあるべき姿とされていた 「強い信念を持つ」、「潔い生き方をする」、「言動に責任を持つ」などの価値観・美意識は現代においても重要視されている道徳の一つです。
私たちは、武家文化(武士道)を舞台芸能という形で現代社会に引き継いでいきたいと考え、 剣舞を分かりすくイメージしていただけるように「サムライ剣舞」と名づけました。 流派の門下生以外の方々が気軽に剣舞に親しめる場を作ることで、多くの方に日本の伝統文化に触れ、「古くて新しい発見」をしていただきたいと願っています。